引越し現場の裏話

見積もりミスでしょ?階段253段!地獄の引越し|引越し現場の裏話

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引越し現場253段の階段。ショックを受ける作業員。

駅のホームで健康のためにとエスカレーターを使わずに階段を使う方は多いようですが、重い荷物を抱えていたらエスカレーターやエレベーターを使いたくなりますよね。

引越し作業も同じで、エレベーターのあるマンションと階段しかないマンションでは、作業員の疲労度には大きな違いが生じることになります。

作業員の中には身体を鍛えに来ているような人間もいるのですが、どちらの現場をやりたいかと聞かれれば、エレベーターのあるマンションと答える作業員が多いことは間違いありません。

このページでは、私が作業員時代に経験した引越し作業の中で、階段の数で言えばもっとも多かった253段の現場についてお話します。

地獄の階段引越し

253段の階段を往復する・・・。考えただけでも疲れてしまいますよね。一往復するだけでもかなりの体力を消耗するはずです。

単純に階段を昇り降りするだけでも結構な体力を使うと思いますが、引越し作業ではこれを荷物を持った状態で行うわけですから、このような現場はまさに階段地獄と言えるでしょう。

私の働く会社ではたいてい前日に翌日の現場とメンバーが割り振られるので、「積地:5階、階段、作業員:3名・・・。」などの作業指示書に自分の名前があったりすると、かなり憂鬱な気分で朝を迎えることになります。

メンバーに新人が入っていたりすると、まず階段作業では使い物にならないので、さらに憂鬱になります。

引越し作業では荷物を持って何十回も往復するわけですから、できるだけ疲れないような運搬のコツはあるものの、階段作業は体力勝負になります。

階段での引越し作業

マンション、団地、一軒家などの階段作業では、作業員はダンボールや小さな荷物をおなかの前に1~2個抱えて、リレー方式で上から下または下から上の作業員へと渡していきます。

冷蔵庫やタンスなどの大型家具類は2名以上の作業員で運ぶのが一般的です。途中で作業員が交代することもありますが、狭い階段などだと同じ作業員が一気に上から下または下から上に運搬することもあります。

また、ひとりで階段の上から下まで往復しないで済むよう、階段の途中である作業員から別の作業員へとリレー方式で荷物を渡していくことで体力の消耗を抑えているんです。

ただ階段の勾配が急であったり、細く長い階段であったりするとリレー方式での荷物の受け渡しがスムーズにいかないケースもあり、そんな時には背負子(しょいこ)という登山用のフレームリュックに似た道具に荷物を括り付けて運ぶこともあります。

私は作業員時代に観光地にある現場で背負子に冷蔵庫を積んで階段を上っている途中、観光客に指をさされて笑われていたのを覚えています。

こちらは真剣に仕事をしていたのですが、観光地で冷蔵庫を背負って歩いている人がいたら、滑稽に見えなくもありませんね。

好んで階段の上に住むのか?

私の作業員としての経験上、駐車場は道路沿いにあっても家は階段の上にあるだとか、車では家にたどり着けないといった環境に暮らす方は、あえてそのような家に住んでいると感じました。

不便ではありますが、多くの場合周りが山で囲まれていたり、近隣にはほかに住居がないなどで、自然豊かで静かな環境に家が建っています。

今回も現場に車両を横付けできるような優しい環境ではなく、道路に停めた車両から車両通行止めの細い坂道を100メートルほど登った先にあります。

場所は横須賀の高台だけにその家からは海も見えて景色も最高なのですが、家から搬出した荷物を100メートルほど離れた車両に運ぶのが大仕事です。

台車に荷物をまとめて運ぶのですが、家から車両までは下り坂になるため作業員ひとりでは無理なことがわかりました。

今日の現場は私とベテラン作業員、学生アルバイトの新人、入って1ヶ月ほどの17歳のフリーターの女の子という、なんともバランスの悪い作業員構成です。

私と学生アルバイトの新人で、坂の上から荷物の積まれた台車を降ろし車両への積み込みをし、もうひとりのベテラン作業員と女の子の作業員で家からの荷物の搬出と台車のセットアップという作業の流れになりました。

大型家具類の搬出については私ともうひとりのベテラン作業員でやるしかないので、非常に効率の悪い積み込み作業となり、午前9時スタートから積込完了まで約5時間、14時前後に降ろし地に向かうことになりました。

転居先の階段は253段!

階段の多い町としては運送屋さん泣かせの長崎が有名ですが、今日の現場横須賀も知る人ぞ知る階段の多い町なんです。

積み地が車両の入れない坂の上にあったことから覚悟はできていますが、作業指示書に書いてあるのは車両横付け不可、階段ありのみです。

引越しの見積もりで営業マンが下見に行くのは通常積み地だけなので、私の会社では血の気の多い作業員が作業から帰るなり、見積もりをした営業マンをつかまえて「ちゃんと見積もりしろやー!」などともみ合いになることもあります。

費用にかかわる見積もり間違いや見積もりミスは作業員にとってはどうでもいいのですが、必要な作業員数が明らかに違いすぎる場合、現場の作業員がすべてを被ることになります。

今回の降ろし地は山の上にある一軒家で、道路から家に続く階段に車両を横付けすることはできたものの、その階段が実に253段というとてつもない長いものです。

荷物の量はというと、2トンロング1台、2トンショート1台それぞれ満載です。これを作業員4名で降ろすとなると、もはやどれくらい時間がかかるか見当もつかないほどです。

「これは応援呼ばないと終わらないな。」と私たちが話していたところ、なんとお客さんから作業を手伝いたいと申し出がありました。

お客さんの親戚一同が引っ越し祝いに駆けつけてくれたそうで、総勢10人ほどが家具以外のダンボールなど、各々が持てる荷物を運んでくれることになりました。

お客さんに荷物を運んでもらっている最中に、万が一落とされてしまったりすると破損の責任問題に発展する可能性もあるので、お客さんの手伝いは歓迎できないのですが、この日はお願いすることにしました。

その甲斐あって明るいうちになんとか作業を終えることができましたが、土と木の杭でできた階段253段の上にある、より不便な場所への引越しというのは珍しいです。

郵便屋さん、新聞屋さん、運送屋さんは嫌がるだろうなぁという家への引越しのお話でした。

以上、『見積もりミスでしょ?階段253段!地獄の引越し』を最後までお読みいただきありがとうございました。

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