引越し業者に見積もりを依頼すると、正確な費用を計算するために営業マンが荷物の下見にやってくることになります。いわゆる訪問見積もりと呼ばれるものです。
訪問見積もりは荷物の少ない一人暮らしの引越しなどでは省略する業者もありますが、荷物の多い家族の引越しなどでは使用するトラックのサイズや必要な作業員の数などにかかわる大切な行程です。
また、利用者としては訪問見積もりを通して、実際に選ぶことになるかもしれない引越し業者の実態をはじめて知る機会でもあります。
引越し業者が決まるまでダンボールは受け取らないこと。
引越し情報サイトではこのようにアドバイスされることが多いはずですが、引越し会社で働いてきた私の経験上、訪問見積もりでダンボールなど梱包資材を置いて帰る営業マンは少なくありません。
このページでは、引越しの営業マンが訪問見積もりでダンボールを置いて帰りたがる理由についてお話します。
引越しの見積もりとダンボールの関係
私が働く引越し会社では「なんでダンボール置いてこなかったんだんだよー!」と、営業マンが所長に怒鳴られている光景を見るのは日常茶飯事です。
訪問見積もりの際お客さんの家にダンボールを置いて帰ってくるというのは、古くから引越し業界で使われている営業マンのテクニックのひとつなんです。
会社からすると、多少強引にでも訪問見積もりでお客さんの家にダンボールを置いて帰ってくる営業マンは優秀!ということになります。
特に私の働く引越し会社の場合、営業の仕事は歩合制なので、それぐらい攻めの営業ができる人間でないと続かないようです。
では、引越しの営業マンがお客さんの家にダンボールを置いて帰る理由は何なのでしょうか。
断りづらいという心理効果
たとえば、このような経験はありませんか?
- スーパーの試食コーナーで店員さんの話を聞いているうちに、試食した商品をつい購入してしまった・・・。
- 実際に使ってみて気に入らなければ返品できる商品ではあるものの、返品するほど気に入らないわけでも、高額な商品でもないため使い続ける・・・。
特に相手を思いやる気持ちの強い人ほど、次のように考えてしまうようです。
「食べてしまったし・・・。」
「使ってしまったし・・・。」
「買わないと悪い・・・。」
「返すのは悪い・・・。」
実は引越しでも同じようなことが起こるんです。営業マンにダンボールを置いて行かれても「どうせ無料だし、まぁいいか・・・。」と考える方は少なくありません。
せっかちな方は引越し業者を決める前に、どこかの業者が置いて行ったダンボールを使って荷造りを始めてしまうかもしれません。
こうなるともう営業マンの思うツボで、「ダンボールも使っちゃったことだし、この業者でいいか・・・。」と考える利用者も出てくるわけです。
また、「ダンボールを引き取りに来てもらうのも悪い・・・。」と考えてしまう方もいるかもしれません。
引越しの営業マンがお客さんの家にダンボールを置いて帰るというのは、一見何気ない行動のように思えますが、実は心理効果を狙った立派な営業活動の手段なのです。
ダンボールはもらっちゃダメ?
引越しの見積もりを依頼するのに適切な時期は、引越しの約1ヶ月前です。そして荷造りに必要な期間は2週間程度です。
このことから見積もりを依頼する時期に、ダンボールなど荷造りに必要な梱包資材を調達することは悪いことではありません。むしろダンボールなどはできるだけ早く調達したほうが、荷造りが楽になります。
しかし上述の通り、訪問見積もりで営業マンにダンボールを置いて行かれるということは、複数社の見積もりを比較してより安い引越し業者を選ぶことができなくなる可能性があります。
営業マンは「この業者でいいか・・・。」と思わせるために、お客さんの家にダンボールを置いていきたがるのです。
つまり、訪問見積もりでダンボールをもらってしまうと、その業者を選んでしまう可能性が高くなるということです。
見積もりがすべて出揃うまで絶対に契約しない!
このように思っていても、相手はプロの営業マンです。あの手この手でなんとか契約にこぎつけようとするはずです。
そして訪問見積もりの最後、「ダンボールだけでも置いて帰らせてください。」というような流れになるかもしれません。
下の項目でご紹介しますが、契約をしない引越し業者へダンボールを返却するのにお金がかかってしまうケースもあるので、絶対に契約しない!と考えるよりも次のように考えておきましょう。
引越し業者が決まるまでダンボールはもらわない!
ダンボールの返却方法
引越し情報サイトの影響か、とりあえずダンボールを置いて帰るという昔ながらのテクニックは通じなくなっている感はあります。
私の働く引越し会社でも、引越しが決まったお客さん宅にダンボールやガムテープなど、必要な梱包資材を毎日配達してくる専門車があるほどです。
「何がなんでもダンボールを置いて来い!」と教育される引越しの営業マンには厳しいご時世です。
ある引越し業者がダンボールを置いて行ったものの、最終的に違う業者と契約することになったというのは珍しいことではありません。
特に 一括見積もりサイト の利用が当たり前になった今では、利用者にとって多くの引越し業者の見積もりを手軽に比較することができ、より安い業者を選ぶことができるようになりました。
そこで問題になるのが、営業マンが置いて行ったとはいえ、一度受け取ってしまったダンボールの返却です。
引越し業者へのダンボールの返却方法には次のような方法があります。
引越し業者へ引き取りを依頼する
営業マンが訪問見積もりで置いて行ったダンボールや、ほかの業者に乗り換えるなど、契約をキャンセルして配達されたダンボールを返却するには、その業者へ引き取りを依頼します。
近くを走る車両が回収するなど、多くの業者で使用前のダンボール引き取りは無料で行ってくれます。ダンボールやガムテープを一部でも使用してしまった場合には、実費で請求されることになります。
自費で返送する
営業マンが訪問見積もりで強引に置いて行ったにもかかわらず、その業者と契約しない場合、置いて行ったダンボールを引き取りに来ない業者もあります。
ダンボールの引き取りを依頼すると「自費で返却」を指示されるケースもあります。
自費で返却を指示してくる業者の場合、訪問見積もりの際に営業マンが提示する引越運送約款か、見積もり書の裏面にそのような記載があることが多いです。
業者に自費でのダンボール返却を指示された場合、次の「契約する引越し業者に返却を依頼する」方法がおすすめです。
契約する引越し業者に返却を依頼する
ある引越し業者と一度契約したものの、より安い業者が見つかったなどで業者を乗り換えることもあるものです。
キャンセルする業者のダンボールを返却する一番簡単な方法は、新たに契約する引越し業者にその業者のダンボール返却を依頼することです。
この方法は訪問見積もりでこれはという安値を提示する営業マンが現れた場合にも使えます。
「キャンセルする業者のダンボール返却をお願いできますか?」と、新たに契約する引越し業者の営業マンに言ってみてください。
そんなことで引越しが受注できるならと、営業マンはふたつ返事でOKしてくれるはずです。
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まとめ
訪問見積もりでダンボールを置いていくのは営業マンの常套手段。なかば強引にダンボールを置いていく営業マンも中にはいるでしょう。
そのような状況になったとき確認しておきたいのが、営業マンが提示する引越運送約款です。ダンボールなど梱包資材の返却について、不利な条件が記載されていないか確認しましょう。
「必要なければ取りに来ます。」といった営業マンとの口約束は、引越しでは厳禁です。
訪問見積もりでダンボールを受け取ってしまうと、引越し業者選びに影響してしまうこと、ダンボール返却のトラブルに発展してしまうことがあります。
このような事態を避ける一番簡単な方法は、引越し業者が決まるまでダンボールはもらわない!ことです。
電話番号入力なしでOK!
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以上、『引越しの訪問見積もりで営業マンがダンボールを置きたがる理由とは?』を最後までお読みいただきありがとうございました。
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