引越し現場の裏話

引越し作業員が語る訳あり引越し夜逃げ編|引越し現場の裏話

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付き合っている相手にばれないように引越しをしたい・・・。

主人が仕事に出かけている間に荷物を運び出したい・・・。

引越し作業員として働いていると、ときにこのような特殊な事情を抱えたお客さんの引越し作業をすることがあります。

私の働く引越し会社はごく普通の引越し業者なのですが、テレビドラマにあるような夜逃げ専門業者も実際に存在するんです。

このページでは私が引越し作業員時代に経験した、既婚女性の特殊な引越しについてお話します。

訳あり引越し

すっかり日が落ちるのが早くなったと感じる秋口の夕方、もうひとりの作業員と予定通り午前便、午後便をやっつけて、次の現場があるか会社に連絡を入れてみます。

すると、予定していた車両が時間的に間に合いそうにないからと、20時スタートの現場に向かってほしいということでした。

携行している当日の引越し予定全リストを見てみると、これから向かおうとしている現場の注意事項に看板車不可、到着前に電話と書いてあります。

看板車というのはその引越し業者だということがすぐわかるよう、マスコットキャラクターなどが目立つように描かれたトラックのことです。

たとえば、サカイ引越センターならパンダの絵、アート引越センターなら0123マーク、アリさんマークの引越社ならアリの絵が描かれたトラックのことです。

今日の車両はド派手な看板車

私たちが今日乗っているのは会社の看板車中の看板車で、4種類あるバージョンの中でも一番派手な塗装の車両です。おそらく誰が見ても引越し屋だとすぐにわかってしまうと思います。

本当にこのド派手な看板車で行ってもいいのか、もう一度会社に確認してみると、とりあえずお客さんの家から離れた場所に車両を駐車するということになりました。

塗装のされていない無地の銀パネルの車両を、なんとか時間までに向かわせるということで、作業の準備を私たちが先に進めておく段取りです。

現場まで100メートルほどの道路にトラックを停めて、お客さんに連絡を入れてみることにします。

引越しの理由

会社とのやり取りでは状況がまったくわからないので、お客さんに差しさわりのない範囲でと、電話で事情を聞いてみます。

ひとつの敷地内に若夫婦が暮らす家と、若夫婦のご主人の両親が暮らす家がある2世帯住みで、若夫婦の奥さんが今回の引越しの依頼主です。

奥さんは旦那さんと別れたいようですが、同じ敷地内に住む旦那さんの父親が猛反対しているらしく別れられないということでした。

なので旦那さんが仕事から帰る前に、かつ旦那さんの両親夫婦が就寝する20時以降に、奥さんが必要最低限の荷物を持って家を出るという作戦のようです。

旦那さんの父親はもちろん、近所にも引越しだとわからないように作業してほしいというのが絶対条件でした。

そのような状況を聞いてしまうと、○○引越センターと書かれたド派手な看板車で来てしまったとはとても言いづらいです。

もう一度会社に確認してみると、無地の銀パネルの車両の手配ができず、ド派手な看板車でこの訳あり引越しを行うことになりました。

夜逃げ屋本舗?

運よく月明かりもなく辺りがすっかり暗いことから、ド派手なカラーリングの引越し車両については依頼主である奥さんに了承してもらうことができました。

すぐに作業に取り掛かれるよう私たちは近くで待機、奥さんがタイミングを見計らって車両を敷地内に誘導する段取りになりました。さながらテレビで見る夜逃げ屋本舗のような展開です。

ほどなく奥さんから連絡があり、車両の灯火を消して静かに奥さんの住む家に車両を横付けします。必要最低限の明かりの中で気配を消しながら作業を開始しましたが、やはり無理があるのでしょう。

暗闇にすっと現れたのは旦那さんの父親でしょうか。顔に表情はありません。

悲しい結末

旦那さんの父親とおぼしき人物の表情は悲しげで、特に驚く様子も声を荒げるようなこともなく、このような事態になるのを予測していたのでしょうか。

奥さんと旦那さんの父親とおぼしき人物の間に会話はまったくありません。奥さんは淡々と持っていくもの、置いていくものの選別をしています。

荷物といっても鏡台、布団、整理タンスとダンボールが5個ぐらい。女性の一人暮らしに必要な最低限の荷物といった感じです。

「引越し屋さん、荷物持って行かねえでくれよ~。」という、年のころ60~70代に見える旦那さんの父親とおぼしき人物の悲しそうな言葉に心が痛むますが、こちらは依頼された通りの仕事をするしかありません。

トラックを横付けしてから荷物を積み終えるのに10分もかかりませんでしたが、何とも言えない場の雰囲気にやるせない気持ちになりました。

何が原因で旦那さんと別れたいのかも、旦那さんのご両親との仲もわからずじまいでしたが、私が担当した引越しの中でもっとも後味の悪い作業になりました。

積んだ荷物は会社に持ち帰って一時預かりなので、せめてこの荷物を届けるときには奥さんの明るい顔が見れたらと思っています。

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