引越し現場の裏話

台風の中での引越し作業は勘弁してよ|引越し現場の裏話

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台風暴風雨の中引越しをしている作業員

引越し作業員をしていて何がつらいかといえば、体調不良でも休めないときと雨の日の引越し作業でしょうか。

風邪などひいてしまったとき、代わりの作業員がいれば休むこともできますが、天気が悪いからというのは休む理由にはなりません。

雨の日でも雪の日でも引越し作業は行われますが、荷物もびしょ濡れ、自分たちもびしょ濡れになる雨の引越しは作業員にとって憂鬱な作業になります。

管理人
申し遅れました。サイト管理人の中村です。
このページでは私の作業員経験をもとに、台風の引っ越しについてまとめています。

ひとつ、大事なことをお伝えします。

引越し業者がお客さんに気を遣って「明日は台風が上陸しますので、お引越しを延期されますか?」などと聞いてくることはまずありません。

気の利く引越し屋さんなら事前に悪天候での作業を中止、もしくは延期してくれてもよさそうなものですよね。

しかし、引越し業者側から作業の中止や延期をすることにはデメリットしかありません。

なぜなら、お客さんからキャンセル料を取ることができなくなってしまうからです。

なので、「台風じゃ作業が大変だから」と気を遣ってキャンセルしてくれるお客さんは、引越し業者にとってウェルカムなんです。

まずは、私が引越し作業員をしていたときに経験した、台風の中での引越し作業についてのリアルストーリーを読み進めてみてください。

台風の中で引越しをしたら、どんな作業になるかがイメージできるかと思います。

後ほど、お客さん側でできる台風対策についてもご紹介します。

台風の中での引越し




明日には台風が上陸しようかという、この日の現場はよりにもよって海沿いの横須賀です。

しかも11階建てマンションの最上階という、いかにも雨風の影響が大きそうな現場の匂いがします。

風雨の影響が心配されますが、作業指示書を見ると大物家具のみ、エレベーター有、2名作業となっています。

順調にいけば午前中には終わりそうな感じです。

天気の悪化が心配ですが、「なんとかなるか・・・。」と現場に向かうことにしました。

海沿いの片側2車線の幹線道路を走っていたときのことです。

追い越し車線を走りながらトンネルを抜けた瞬間、一瞬で左の車線に飛ばされました。

左の車線に他の車が並走していたらぶつかっていたかもしれません。

箱型のパネルを持つトラックは側面の投影面積が大きいため、横風にはとても弱いのです。

トンネルの出口付近に時折見かける「横風注意」の標識の意味を、今さらながら痛感しました。

 

天候は悪くなる一方

天気予報どおり、現場に近づくにつれて風雨も強まってきました。

立地がまた海を見下ろす高層マンションという、とても気の進まない作業環境です。

現場に到着、早速下見を開始するとトラックとエントランスの間、お客さんの玄関先からエレベーター内も台車が使える悪くない環境です。

問題はトラックとエントランス間の距離、お客さんの玄関先からエレベーターまでの距離で、いずれも50メートルほどとかなり距離があります。

この下見の段階で自分ともうひとりの作業員もかなりの濡れねずみ状態になってしまいました。

家具類の防水にはエアーマット(いわゆるプチプチ)を使うとしても、自分達の雨具など持ち合わせていません。

そして一番の障害は11階に吹いている強烈な風です。

もはや台風が上陸しているんじゃないかというぐらいの激しい風が吹いています。

引越し作業をするには当然玄関を開かなければなりませんが、運の悪いことにこの玄関が風上を向いているのです。

 

最悪の作業環境

引越し作業をするとき、荷物の出入口になる玄関の扉は開けっ放しにするのが普通ですが、今回は玄関が風上を向いているため開けっ放しにできません。

部屋の中で家具が濡れないよう厳重に梱包して、最短の時間で玄関の扉を開け、最短の時間で家具を搬出、最短の時間で玄関の扉を閉めるという忙しい作業になります。

しかし、玄関を開けるたびに、この家の奥さんと娘さんの「きゃー。」という声とともに、リビングを風雨が襲い新聞紙やらタオルやらが散乱する状態になります。

映画で見る、飛行機の窓ガラスが割れて荷物が飛び交うような感じです。

玄関から出した家具を台車に乗せて、50メートルほど先にあるエレベーターへ向かう通路にも雨は吹き込み、風で家具が台車ごとあおられるといった最悪の作業条件です。

そんなことを3回ほど繰り返したでしょうか。

さすがにまともな作業ができないと判断し何度か会社に連絡を入れますが、会社は「やってきて。」の一点張りです。

「事件は現場で起きてるんだ!」とドラマのセリフが頭をよぎりますが、どうやら自分たちで解決するしかなさそうです。

 

引越しはキャンセルに

台風が来ようがどんな悪天候でも、天候を理由に引越し業者から作業の中止や延期をお客さんに申し出ることは基本的にありません。

翌日以降の人員の手配や配車が大幅に狂ってしまうからです。

しかし、この状態では満足のいく作業はできないと判断し、お客さんに引越しの延期を勧めてみることにしました。

ただ、お客さんの都合による引越しの当日キャンセル扱いになってしまうため、見積もり金額の最大50%がキャンセル料として必要になる可能性があります。

お客さんは「そうよね~。こんな天気じゃね~。」と言ってくれてはいますが、あとは会社がなんと言うか・・・。

「お客さんが引越しを延期したいと言っている。」という形で、会社に連絡を入れてみます。

「半額もらってきて。」というそっけのない返事が返ってきました。

会社へ帰ってから聞いてみると、次回の引越し費用に今回のキャンセル料を充当するという形で、お客さんとも話がついたようで安心しました。

 

台風の引越し対策



一度決まった引越し日を変更することが難しいという方も多いとは思います。

しかし、雨の日風の日はともかく、台風の日に引越しをするというのは作業員としておすすめできません。

台風や暴風雨の中で引越しをするとどうなるか・・・。

作業員滑る。濡れる。怪我をする。
お客さん荷物を落とされる、壊される。部屋が汚れる。

引越し作業員にとっても、お客さんにとってもいいことはないんです。

 

日程を延期、変更する

最近は3日ほど先の天気予報も、かなりの確率で読めるようになりました。

もしも、引越し日が台風の上陸と重なるようなことがあれば、迷わず日程の変更をすることをおすすめします。

引越しそのもののキャンセルではなく、悪天候による日程の変更や延期であれば、業者の中にはキャンセル料を取らないところもあります。

しかし、業者と利用者の取り決めである引越運送約款に則ると、引越しを無料でキャンセル、もしくは延期できるのは3日前までとなっています。

◆引越しの解約手数料、延期手数料

解約日解約料金
3日前までなし
2日前運賃及び料金の20%以内
前日運賃及び料金の30%以内
当日運賃及び料金の50%以内

引越しのキャンセルについては以下のページで詳しくご紹介しています。

引越しキャンセル。トラブル。
引越しのキャンセル費用っていつから有料?ダンボール返却はどうする?

引越し業者と一度は契約はしたものの、より良い条件を提示する引越し業者が新たに見つかることもあるものです。 どうしても外せない用事が入ってしまったり、家族が急に病気になってしまったりと、引越しどころでは ...

 

荷物の水濡れ対策をする

家具類は作業員が梱包資材などでくるんで運ぶので、雨でびしょ濡れになるなんてことはないはずです。

ただ、ダンボールなど細かい荷物については、ひとつひとつ防水対策をして運ぶなんて面倒なことは、まずしません。

なので、雨の中の引越しでは、部屋の中に濡れたダンボールが置かれることはよくあることなんです。

気の利いた作業員は畳やカーペットなどに濡れた荷物を置くようなことはしませんが、畳の上に濡れたダンボールを置くような作業員は少なからずいるとだけ言っておきます。

ダンボールが濡れるだけならまだしも、たとえば衣類や書類、本など水濡れに弱い荷物だと捨てるしかなくなってしまうものもあると思います。

荷造りの際に荷物をビニール袋に入れてダンボールに入れるなんて、そんな面倒なことはやってられないと思います。

雨の中の引越し作業になるとわかったら、荷物をビニール袋に入れてダンボールに詰めるのではなく、ダンボールの上からごみ袋などの大きいビニール袋をかぶせてみてください。

ビニール袋を被ったダンボールは作業員にとっては運びづらくなるのですが、中の荷物が台無しにならずに済みます。

 

雑巾を多めに用意する

お客さんから雑巾を借りて雨で濡れた家具や荷物を拭くなんて、中には気の利いた作業員もいたりします。

しかし、たいていは雨でびしょびしょに濡れた靴下を履いたまま、トラックと部屋を往復することになります。

なので雨の中の引越しでは、家具や荷物だけでなく部屋の床もかなり濡れてしまうことになります。

退去する旧居ならまだしも、新居が作業員の濡れた足や荷物で汚されるというのは、私なら耐えられません。

濡れた床、特に畳やカーペットなどは濡れた水分をすぐに拭き取らないとそのままシミになってしまうこともあります。

引越し作業員はそこまでの作業はしないので、雑巾を多めに用意してこまめに拭き取るのがいいかと思います。

何度もお話していますが、一番いいのは台風など悪天候での引越しをしないことです。

稀にですが、引越し作業員を便利屋か何かと勘違いしているお客さんもいるのですが、そのあたりは以下の記事をご覧になってみてください。

引越し屋は便利屋じゃないです
引越し荷造りサービスの作業範囲|おまかせプランやらくらくパックなど

引越しの荷造りや荷解きは自分でという方が多いと思います。 でも、小さなお子さんがいたりすると、なかなか思うように時間が取れなかったりしますよね。 荷物や部屋が多すぎて、どこから手をつけたらいいのか・・ ...

 

まとめ

悪天候だからと業者が引越しの中止を提案してくることはまずありません。

引越しを予定している日程が台風など悪天候になる可能性があるのであれば、まずは日程の変更を検討してみましょう。

キャンセル料の発生なく引越しの延期、解約ができるのは3日前までです。

日程の延期であれば、解約手数料を取らない良心的な引越し業者もあります。

どうしても悪天候での引越しをしなければならない時は、荷物をビニールでくるむ、雑巾を多めに用意するなどの水濡れ対策をしましょう。

良い引っ越しを!

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