引越し作業員にとって、運ぶのがつらい荷物のひとつが本です。理由はすごく単純で、重いからです。
きちんと本用のダンボールに本が入っていればいいのですが、引越しの現場では信じられない大きさのダンボールに本がパンパンに入っていたりします。
引越し作業に本のダンボールはつきものですが、たまに「勘弁してくれ。」というぐらいの本の引越しに出会うことがあります。
このページでは私が作業員のときに経験した、積み地降ろし地ともに階段作業で本がメインの荷物だった、作業員にとっては地獄のような引越し作業のお話をします。
本の引越し
実は私の父親も大の本好きで、読書が趣味という人には本を捨てるという概念はまずないらしいです。私の実家も至るところに本が積み重ねてあります。
私は友人宅の2階の床が抜け落ちた身近な例を知っていますが、原因は読書が趣味である旦那さんのコレクションしている本の重さということでした。
冗談ではよく「本は読んだら捨てないと重さでそのうち床が抜ける。」と言いますが、実際に本の重さで家の床が抜けることはあるんです。
今日の現場
この日の現場は前日から本が多いという話を聞いていたので、作業員全員心の準備はできていました。
用意する車両は2トンワイド1台、予備で2トンロング1台です。仮に2トンワイド1台に本が満載になるようなことがあれば、荷物の重量は軽く2トンを超えるはずです。
積み地は階段3階、降ろし地は階段5階、今日は本だけの引越しで家具類の引越し作業は後日行うというもの。階段作業があるので作業員は6名となりました。
荷物が本で、積み地も降ろし地も階段というだけで、作業員のテンションはかなり下がってます。
部屋の中は本の山
「どんだけ本好きなお客さんなんだ?」と作業員みんなで話しながら、荷造りされた本だけが置いてあるという本の部屋を見せてもらいます。
圧巻!です。
部屋には入り口から人ひとりがやっと通れるぐらいの通路が、壁に沿って荷造りされた本のダンボールでできています。
まずは部屋の中をぐるりと囲むように、荷造りされた本のダンボールで壁ができています。そして8段に積まれた本のダンボールが、10列並んで仕切りのように2つできています。
部屋の大きさは8畳、本のダンボールが積まれている高さは180cmの自分の背より少し高いぐらい。これまでに見たことのない恐ろしいほどの数の本のダンボールです。
本の部屋以外にも本のダンボールが置いてあるので、ざっと見積もってもその数400箱以上!
1箱10キロで計算しても4トン!持ってきた車両では心もとなく感じます。
お客さんの梱包最高!
このお客さんが素晴らしいのは、すべて事前に配達された指定の本用ダンボールを使ってくれていること。
自分の背より高く積まれた本のダンボールが、これほど安定することはめったにありません。お客さんがいかに本を大事にしているかがよくわかります。
ダンボール箱を積み重ねても上の重みでつぶれないように、きっときっちりと隙間なく梱包したに違いありません。ダンボール箱にはひとつひとつ、引越し先での配置に使うであろう記号が書いてあります。
私の会社指定の本用ダンボールにびっしり本を詰めると、その重さは1個大体10~15kgほどになります。
作業員が全員男の場合には、これをふたつ重ねて運ぶことがほとんど。ふたつ重ねだと腕と胸でダンボールを支えることができるため、走りながらの作業でもダンボールを落とすことがないためです。
積み込み
積み込み作業は下り階段なので、上り階段に比べたらまだマシです。この量の階段5階への降ろし作業は考えるだけでも億劫になります。
下り階段の搬出作業といえど、運んでも運んでも一向に減らない本の部屋を見るたびに、先の見えない道を歩いているような気になります。
トラックへの積み込みも容積的には天井まで積んでしまえば1台で済む物量ですが、過積載への懸念と重心が高くなり危険だろうということで、1台あたり七分積みぐらいにしようということになりました。
自分たちとしては予想外に多い物量だったため、会社に連絡して降ろしには応援を頼んでおきました。積み込みに半日かかりましたので、おそらく階段5階の降ろし作業にはこの人数だとさらに時間が必要と思われるためです。
まるで図書館
引越し先の本の部屋も凄いことになっています。10畳の部屋にまるで図書館のような天井まであるスライド式本棚が3列に並んで設置してあります。表と裏の両方から本が取り出せる本格仕様です。
「○○と書いてある箱はこの列の前に置いてください。」と、先ほどのダンボールに書いてある記号がここで活躍することになります。
階段5階の引越し先への搬入作業を始めてまもなく、午後便を終わらせた応援部隊が到着、総勢9名の頼もしい階段作業となりました。
本の引越しを終えて
新たな本の部屋に整然と積まれた本のダンボールを見て、子供のように嬉しそうな顔をしているお客さんの姿が印象的でした。きっと本を本棚に収めていく過程が楽しいんでしょうね。
ただ、今回の荷物がどれだけ重いかを知っているだけに、引越してきたばかりの本の部屋の床が抜け落ちないことを祈らずにはいられません。
また本をダンボールに詰めるときは、自分が持ち上げることができる重さにしてくださいね。
引越し業者からもらえる一番小さなサイズか、スーパーにあるみかん箱のような、小さめの頑丈な箱を使うのがコツです。
どのサイズのダンボールに何を入れればいいのかは、ぜひ以下のページをご覧になってみてください。
間違ってない?引越しダンボールのサイズと入れるべき荷物
持ち上げれば底が抜けるダンボール。 到底普通の人間の力では持ち上げることが不可能と思われるほど、物が詰め込まれた大きなダンボール。 「お客さん、あなたコレ持てますか?」 引越しの現場ではさすがに口には ...
以上、『図書館か?引越し屋泣かせの本の部屋』を最後までお読みいただきありがとうございました。
このページが役に立ったらシェアしていただけると嬉しいです!
電話番号入力なしでOK!
▼