見積もり書に記載された費用のほかに、引越し業者は引越し当日利用者に追加費用を請求することはできません。
しかし、それは利用者が積地、降し地、荷物の詳細について業者に正しい情報を申告していた場合です。
引越しの現場では作業が予定通りには進まないケースもあり、状況によっては追加費用を利用者が負担しなければならないこともあります。
営業マンの下見は積地のみ
積地での訪問見積もりをした場合には、営業マンが現地を確認していることから、搬出について支障が生じるようなことはまずありません。
しかし、営業マンが転居先を下見することはまずありません。
営業マンにとって、引越しの見積もりに必要なのは荷物の量で、あとは住居の階数やエレベーターの有り無しなど作業の条件を当てはめるだけです。
なので、わざわざ転居先の下見をする必要がないのです。
営業マンが下見をしないからこそ、転居先の状況については業者に正しく伝えておく必要があります。
転居先の状況によっては専用車両の用意、作業員の増員などをしなければならないからです。
利用者の申告と実際の作業環境が大きくかけ離れている場合などは、業者から追加料金を請求されることにもなりかねません。
追加料金が発生するケース
引越し料金は作業時間に比例して高くなるものです。
新居への荷物の搬入で作業時間に大きな影響を与えるのは、トラックが住居の近くまで進入できないケースや、高層階への荷物搬入にエレベーターが使えないケースなどがあります。
また、以前の引越しで玄関からの搬出、搬入が困難であった家具や、分解、組み立てが複雑であった家具などもあるでしょう。
そのような作業時間に大きな影響を及ぼす可能性がわかっている場合には、あらかじめ業者に伝えておくことがトラブルを避けるには大切なことです。
特殊な作業や機材がなければその引越しを終えることができなくなった場合、荷主の許可を得たうえで業者は特殊な作業をすることがあります。
その際、必要な機材の調達をすることになりますが、見積もりにない特殊作業や必要な機材の調達は有償となることがほとんどです。
特殊作業、特殊機材
引越しの特殊作業には人力で行うものと機材を使うものがあり、人力で行うものには家具や荷物をロープで上げ降ろしする吊り作業、エレベーターに入りきれない大型家具の階段作業などがあります。
引越しの特殊機材には高層階と地上を結ぶクレーンやシャトル、シューターやスカイポーターなどがあり、同じ機材でも業者によって呼び名が異なるものもあります。
人力で行う特殊作業は時間がかかり、特殊機材の使用は通常の引越し作業とは異なるオプションであり、いずれも引越し費用がかさむことになります。
引越しの見積もりのほとんどは、積地でのみ行われるものです。
新居の玄関や階段が予想外に狭く、こうした特殊作業や特殊な機材が必要になった場合には、見積もり費用とは別に追加料金が生じる可能性があります。
ピストン輸送
引越し業者によってはトラック1台に積めるだけ積み、積み切れなかった荷物は自分で運ぶという割引プランを用意しているところもあります。
積み切りプランは確かに引越し費用を節約することはできますが、利用者の予想をはるかに超える量の荷物が積みきれないというケースも少なくありません。
近場の引越しであれば、1回荷物を降ろしてまた積んでというピストン輸送に応じてくれる業者もありますが、追加費用の発生となるケースがほとんどです。
荷物はダンボールなどに箱詰めしてみると、思っている以上に増えるものと覚えておきましょう。
追加費用とならないために
- 前回の引越しで搬入搬出に特殊な作業があった家具類は、その旨申告する。
- すべての荷物を運んでもらうプランを契約する。