あと1万円安かったら今すぐ契約してもいいんだけどなぁ・・・。
このセリフ、引越しの営業マンの前で絶対言ったらダメですよ。
「ちょっと安くすりゃ、契約取れるな。ウッシッシ♪」
営業マンはこのように考えます。
そして、おそらくこんな感じでプランの提案をしてきます。
トラックに積めるだけ積んで、細かいものはご自身で運びますか?
それなら○○円でやりますよ!
コレ、引越しで言うところの「積み切り」というプランのことです。
まさか大量の荷物が積み残されるとは普通は考えないので、つい「ラッキー!じゃあ、そのプランで!」と営業マンの術中にはまってしまうお客さんは多いんです。
使い方によってはメリットもある積み切りですが、多くのケースではお客さんにとってのリスクが高いプランです。
このページでは、私の作業員&営業マンの経験をもとに、引越しの積み切りプランについて詳しく解説しています。
積み切りとは?
引越しは1件1件荷物の量が違うため、業者が使うトラックの大きさも1件ごとに必要なサイズを選択します。
必要最低限の大きさのトラックを選べば、その分費用を抑えることもできるのですが、普通はやや余裕を見たサイズで見積もります。
万が一荷物がすべて積みきれないといった場合、一般的な引越しプランでは業者側の見積もりミスということになります。
なので、もう1台トラックを追加したり、1台のトラックでピストン輸送(往復)をしたりといった作業が、引越し当日に必要になります。
積み切りプランとは、トラックに荷物を積めるだけ積み、積みきれない荷物はお客さんが自分で運ぶというプランです。
つまり、引越し当日もう1台トラックを追加したり、ピストン輸送をしないプランのことです。
積み切りプランがあらかじめ用意されていない業者もありますが、リクエストすると応じてくれる業者は多いはずです。
引越し費用はおもに運ぶ荷物の量と輸送距離で決まります。
家具の種類と個数を入力すれば、おおよその引越し費用がわかる計算機もぜひ使ってみてください。
積み切りのメリット
たとえば、トラック1台のみの引越しと2台必要な引っ越しでは、最低でも車両1台分の経費が変わることになります。
2トンクラスのトラックでも、1台あたり2万5千円ぐらいの基本料金が変わります。
積み切りプランはトラック1台のみの引越しでも、2台以上必要な引っ越しでも選ぶことができる業者が多いです。
すべての荷物が積みきれない場合、乗用車などで自力で運ぶことになりますが、1台あたりの経費分が変わってくるとなると積み切りを選ぶメリットはあるでしょう。
積み切りプランの場合、乗用車などでは運べない大きな家具類を優先に積み込むことになります。
なので、自分たちでは運べないような大型家具類が積み残される心配はしなくて大丈夫です。
積み切りのデメリット
積み切りでは大型家具類が優先して積み込まれるため、乗用車などで運べない荷物が積み残されるようなことはありません。
家具類を積み込んだ後、残りのスペースに積めるだけのダンボールや細かい荷物を積んでいくのですが、大量のダンボールなどが積み残されるリスクがあるのが、積み切りプランです。
しっかりと荷物の量を計算できる営業マンならいいのですが、冒頭でご紹介した「ちょっと安くすりゃ、契約取れるな。ウッシッシ♪」的な営業マンにあたってしまうと、
積み切りにしなきゃよかった・・・
という散々な引っ越しにもなりかねません。
そもそも家具や荷物を運んでもらうために引越し屋さんを頼むのですから、引越し屋さんと同じぐらい荷物を運ばなきゃいけないなんてことになったら本末転倒でしょう。
私の作業員としての経験上、積み切りは結構な量の荷物が積み残されます。
積み切りプランの現実
積み切りプランは現場の作業員の裁量で、積める荷物の量が大きく変わる性質があります。
本来、引越し車両には荷物を隙間なくびっしり積み込んで、少しでも多くの荷物が1台に収まるようにするものです。
家具や荷物に隙間がないほうが、輸送中の振動による荷物の安定にもつながります。
しかし、積み切りプランはトラックに荷物がそれ以上積めなくなった時点で積み込み作業が終わります。
ということは、荷物を隙間なくびっしり積むのではなく適当に積めば、本来積める量の荷物よりも少ない状態で満車となります。
つまり、見せかけ上トラックを満車にすれば、運ぶ荷物が少なくて済むと考える作業員が出てくることになります。
私が駆け出しの作業員時代に教わった先輩がまさにこのタイプでした。
積み切りではトラックの荷台の前方に空のハンガーボックスを3つほど立て、大きな食器棚と冷蔵庫分ぐらいのスペースを空荷で埋めるというインチキをしていました。
ダンボール換算すると、中ぐらいのサイズのダンボール20個分ほどでしょうか。
なので、もしも積み切りプランを契約するのであれば、積み込み作業中のトラックをちょこちょこ見に行った方がいいです。
スキマだらけで荷物を積まれていないか、ちゃんと天井まで荷物を積まれているか、要は作業員がズルしてないかの監視をしたほうがいいということです。
このようなインチキ作業は、私の勤めていた会社だけの話であればいいのですが、積み切りプランにはこんな理不尽なリスクもあることを知っておいてほしいと思います。
積み残された荷物はどうする?
積み切りプランの場合、トラックの荷台が満載になると、例えば乗用車で運べないような大型家具が残ったとしても引越し業者はそのまま作業を終えることになります。
オイオイ、マジかよ・・・。
こんなお客さんのつぶやきを現場で何回聞いたことか・・・。
家具類は全部積めたものの、転居先に持って行く荷物の半分ぐらいが積み残されることは、私の勤めていた会社では普通にありました。
私たち現場の作業員が手にする作業指示書には次のように書いてあります。
大物家具優先、積めるだけ
なので、もしも見積もり書にこのような記載を見つけたら、ご自身が望む引越しスタイルであるかどうかをよく考えてみてほしいと思います。
積み切りプランで契約し、引越し業者に荷物を積み残されてしまったら、追加費用を払って運んでもらうか自分たちで何とかするしかありません。
現実的な方法をご紹介します。
追加費用を払って運んでもらう
積み切りはトラックに積めるだけの荷物を積むという契約です。
なので、4トン車両が必要な物量なのに2トン車両が手配されたなど、よほどトラックの大きさが不適切でない限り営業マンの見積もりミスということにはなりづらいです。
引越し当日、荷物が積み残されたら、自分たちで運べる荷物か、運べる量かを判断しなければいけません。
自分たちで運べないとわかったら、まずは引越し業者に追加のトラックの手配ができるか、もしくはもう1回往復してもらえるかを聞いてみてください。
近くで作業を終えた車両がある場合など、手配可能なケースは多いです。
しかし、もう1台分トラックと作業員を手配することになるので、それなりの費用が発生することになります。
なので、もと作業員&営業マンの視点からすると、すべての荷物を運んでもらう一般的なプランを絶対的におすすめします。
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ほかの業者を手配する
引越し当日、荷物が積みきれなかったら、まずは作業リーダーに相談してみてください。
積み切り契約である以上、残りの荷物を運ぶ段取りはお客さん自身が行う必要があるのですが、餅は餅屋、まずはプロに相談するのが一番です。
作業リーダーは担当の営業マンに連絡を入れることになりますが、運が良ければピストン輸送をしてもらえたりする可能性もあります。
気の利いた営業マンなら自社の仕事がパンクしそうな時に依頼する協力業者の手配をしてくれるかもしれません。
最悪のケースは頼んだ引越し屋さんが何もしてくれない場合です。
旧居に2、3日荷物を置かせてもらえる大家さんや管理会社であればいいですが、たいていは退去日=引越し日ではないでしょうか。
つまり、その日のうちに荷物を新居に運ぶ必要があるということです。
当日の引越しや緊急輸送に強い運送業者の代名詞ともいえるのが、赤帽など軽貨物運送業者です。
赤帽など軽貨物運送業者は個人での経営が多く、フットワークが軽いのが特徴です。
手が空いていれば当日の引越しなどにも対応できる軽貨物運送業者は多いですよ。
積み残し分のダンボール程度なら喜んで運んでくれると思います。
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宅配便で送る
積み切りプランを契約するお客さんの多くは、次のように考えます。
積み残された荷物は乗用車で運べばいい。
しかし、乗用車で何往復すればいいのかわからないほどの荷物が積み残されることもあるんです。
そもそも車を持っていないお客さんの中にも、料金の安さから積み切りプランを契約する人もいます。
引越し作業員&営業マンの経験からすると、せめて午後便かフリー便を選んでほしい・・・。
午後便やフリー便なら、引越しが終わる時間が遅くなったとしても、新居に運ぶべき家具や荷物は全部運んでもらえるのです。
そうはいっても今、目の前にある荷物をなんとかしなきゃいけないとき、宅配便で新居へ送るという選択肢もあります。
それこそ目の前を通り過ぎる佐川急便やクロネコヤマトなど、宅配便業者を捕まえて運んでもらうのも全然ありです。
宅配便業者へ電話で集荷を依頼するのもいいでしょう。
郵便局が近くにあるならゆうパックで新居へ発送するのもいい方法です。
ただし、ゆうパックや宅配業者の荷物として送るためにはダンボールなど、荷姿がちゃんとしている必要があります。
くわえて、引越し荷物を送るサイズのダンボールになると、近距離であっても1個あたり2,000円前後の送料は覚悟しておく必要がありそうです。
宅配便を使った引越しについては以下のページで詳しく解説していますので、あわせて読んでみてほしいと思います。
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まとめ
料金が安いからと安易に積み切りプランを選ぶとヤケドします。
営業マンに積み切りを提案されたときは、ご自身で積み残された荷物を運ぶ手段を確保できるかよく考えてみてください。
引越し作業員&営業マンの経験から、積み切りよりも午後便やフリー便の選択をおすすめします。
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