引越し作業には大きく分けて荷物の搬出、輸送、搬入という3つの作業があります。
いずれも作業員にとっては気の休まるものではありません。
ちょっとした作業のミスで家具を傷つけてしまったり、時には壊してしまうこともあるからです。
また家具や荷物だけでなく、部屋の壁や廊下にキズつけてしまうといったことも、引越し作業ではときに起こるものです。
壊れやすい家具と部品
引越し後に家具が壊れていたり、キズがついているのを見つけた場合、業者に補償を求めるには3ヶ月以内の申告が必要です。
引越し後3ヶ月を過ぎてしまうと、業者に申告しても引越運送約款によって、業者の引越し荷物の破損や紛失についての補償が免責となります。
引越しが終わったら家具類の点検はもちろん、早めに荷ほどきをして壊れているものがないか確認をしましょう。
私の引越し作業員としての経験から、引越し直後にわかりづらく、作業中に破損しやすい家具と場所、部品などをまとめてみました。
タンスの天板と底板
分解可能な洋服ダンスや和ダンスは天板、底板、本体などに分けて運搬するのが一般的です。
厚さの薄い天板や底板はトラックへの積み込みの際、荷物と荷物の隙間や、荷物とトラックのパネルの隙間に立てた状態で運搬されるケースが多いです。
そのため天板や底板がきちんと梱包されていないと、トラックの床面との摩擦で化粧面にキズがつきやすいのです。
天板や底板の正面についたキズであれば気づきやすいのですが、側面についたキズは普段目にする位置ではないため、次の引越しまで気づかなかった・・・なんてこともあります。
大型家具の側面底辺部
食器棚、本棚などの大型家具類は、作業員が横に寝かせたり立てたりを繰り返しながら運搬します。
その際、床に触れる側面底辺部の一辺を支点に立てたり寝かせたりして運搬するため、側面底辺部に重量がかかりやすく傷みやすい箇所といえます。
家具の角がつぶれる、丸くなるといったイメージです。
タンスなどと同じで、一度設置してしまうとその家具が傷んでいることには気づきにくいものです。
取っ手、ノブ
整理棚の取っ手やノブといった出っ張った部品は、輸送中に他の家具や荷物と干渉しやすく、きちんと梱包されていても取れてしまったりすることはよくあります。
家具類の取っ手やノブの多くが、細いねじや接着剤で固定されているだけの作りが多いためです。
しかしその多くはねじが利かなくなった、接着剤がはがれたといった軽微な破損であるため業者に修理を求めるよりも、利用者自身が直してしまったほうが早いといったケースも少なくありません。
座卓
脚が邪魔で積み込みにくい座卓はトラックに立てて積み込むことが多いため、きちんと梱包されていないとトラックの床面との摩擦でキズがつきやすいです。
また、運搬作業中に立てた状態で仮置きすることも多いため、作業員が床にマットなどを敷かないで仮置きした場合などにキズがつく場合があります。
いつも四角い座卓を家族で囲むというような場合にはキズにも気づきやすいのですが、いつも座卓を使うわけではないといった場合には、いざ使おうと思ったときにキズに気づくことになります。
家具側板のはがれ
合板の外側に化粧板が接着された家具などの場合、古くなると化粧板が浮いている状態のものが多く、梱包作業中にはがれてしまうことがあります。
私自身も梱包用のキルティング素材を家具の角に引っ掛けてしまい、ベリベリと薄い化粧板をはがしてしまったことが何回かあります。
このようなケースは作業ミスであるのかもしれませんが、家具側板のはがれは家具の経年劣化からくるもので、多くは接着剤などで修復可能です。
テレビのメニュー板
テレビ画面の下に横に細長いメニュー扉がついていると思いますが、このメニュー扉の開閉を制御する小さな突起部分が壊れやすいんです。
上の写真で言うと、ちょうど赤丸で囲んだプラスチックの突起ですね。
私たち作業員は「ボッチ」と呼んでいましたが、プラスチック製のメニュー扉からボッチがポキリと折れてしまうケースが多々ありました。
このボッチが折れてしまうと、メニュー扉が開いたままになってしまうのです。
ボッチの折れてしまった部分が残っていれば、接着剤で修復可能な場合もあります。
引越し後にテレビを使用するまで破損していることがわからないことが多いです。
まとめ
国土交通省告示の標準引越運送約款では、荷物の破損や紛失について引越し後3ヶ月以内に業者に通知をしないと、業者の責任が消滅するとあります。
引越しが終わったら家具類の点検と、できるだけ早く荷ほどきをするようにしましょう。
万が一、家具にキズがついていた、荷物がないなどに気づいたら後回しにせず、すぐに業者に連絡しましょう。
以上、『引越しで壊れやすい家具と破損しやすい部品はコレ!|引越しトラブル』を最後までお読みいただきありがとうございました。
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