引越し費用を正確に計算するためには、業者の営業マンが現地を下見する訪問見積もりという作業が不可欠です。
業者によってはテレビ電話などを利用してオンラインで見積もりを行い、訪問見積もりなしで料金の提示をしてくれる場合もありますが、まだ一部の業者に限られています。
荷物の少ない単身の引越しなどでは省略されることもある訪問見積もりですが、業者が現地を下見することは、あなたと業者双方にとって荷物の積み残し等のトラブルを未然に防ぐことができる最良の方法です。
とはいえ、訪問見積もりにどれぐらいの時間がかかるのか、夜間や休日にも訪問見積もりをしてもらえるのかなど、わからないことも多いのではないかと思います。
また、クローゼットの中も見せる必要があるのか、部屋が汚いと見積もりに影響するのかも気になりますよね。
このページでは引越しの訪問見積もりにかかる時間と流れ、夜間や休日の訪問見積もりについてまとめています。
オンラインで見積もり可能な引越し業者は、引越しは日通の「リモミ」などがあります。
訪問見積もりの所要時間
引越しの訪問見積もりに必要な時間は、一般に30分~1時間程度と言われています。
もちろん、見積もりに必要な時間は荷物の量によっても変わりますし、平屋や2階建てといった建物の構造や間取りによっても変わってきます。
私の営業マン経験からは単身の引越しで30分前後、家族の引越しだとオプション作業等が増えるため、見積もり書の作成までに1時間程度は必要かなという感じです。
訪問見積もりの所要時間について、大手業者ではどのような説明をしているのか見てみましょう。
アート引越センター
訪問見積りにはどのくらいの時間がかかりますか?
ご家族さまのお引越でおおよそ30分~40分程度となっています。
出典:アート引越センター
サカイ引越センター
訪問見積もりはどれくらい時間がかかりますか?
荷物の多いご家族様のお引越しでも大体30~40分程度で大丈夫です。お見積もりはすべて無料となっておりますので、ご安心ください。
出典:サカイ引越センター
日通
訪問による見積もりは、どれくらい時間がかかりますか?
お荷物の量などにもよりますが、30分~1時間程度の所要時間が最も多いケースとなっています。
当社が訪問見積もりの際に行う主な内容としては、引越条件やご要望の確認・家財のカウント・金額算出・見積もり内容のご説明等です。基本的には、家財量が多くなるほど所要時間が長くなります。また、引越経験の少ないお客様には、引越しの準備や流れについての疑問点を丁寧にご説明させていただきますので、その分所要時間は長くなってしまいます。
出典:日通
訪問見積もりを依頼できる時間帯
8:00~18:00を訪問見積もり可能な時間帯とする引越し業者が多く、なかには夜8時~9時といった夜間の訪問見積もりに対応している業者もあります。
特に個人経営である赤帽など軽貨物業者や地域密着型業者などは、大手よりも訪問見積もりを依頼できる時間帯には融通が利く傾向があります。
私の勤めていた会社は業界大手という位置づけですが、営業マンが自宅に帰る途中で訪問見積もりをすることもありました。
仕事の都合で夜間や休日にしか時間が取れない方などは、相談をすれば夜間の訪問見積もりに対応できる引越し業者は多いはずです。
アート引越センター、サカイ引越センターのホームページに、訪問見積もりの時間帯についての記載がありますのでご紹介します。
アート引越センター
訪問見積りは、夜間や休日でも来ていただけるのでしょうか?
基本的に午前8時~午後7時までとなっておりますが、お住まいの地域によっては調整させていただくこともございます。
詳しくはお問い合せください。
TEL:0120-0123-33
出典:アート引越センター
サカイ引越センター
訪問見積もりに来てもらえる時間は何時までですか?
地域によって若干の誤差はありますが朝8時から夕方18時までになっております。
出典:サカイ引越センター
訪問見積もりの流れ
あなたにとって、今回がもしも初めての引越しなら、訪問見積もりって何をするんだろうと不安なんじゃないかと思います。
訪問見積もりでは必要なことはすべて営業マンが聞いてくれるので、あなたは何も心配することはありません。
営業マンにお茶を出す必要もありませんし、デリケートな衣類の入ったクローゼットの中などは見せなくても大丈夫です。
ただし、部屋が汚いと荷物が多く見えてしまう人間の錯覚があるため、人を招き入れても恥ずかしくない程度の最低限の片付けはしておきましょう。
訪問見積もりは以下のような流れになります。
訪問見積もりの流れ
- 挨拶、自社PR(5分程度)
- 荷物のチェック(10分程度)
- 日程、作業内容の確認(10分程度)
- 会社へスケジュールの確認(5分程度)
- 見積もり書の作成(10分程度)
- 引越約款の確認(5分程度)
- 無料ダンボールの受け渡し(終了)
挨拶、自社PR(5分程度)
営業マンの自己紹介、自社のプラン、他社との違いなど、まずは担当者の話を聞くところから始まります。
特に自社PRについては熱く語る営業スタッフも多いと思いますが、『もういいです。』などと言わずに最後まで聞いてあげましょう。
訪問見積もりにやってきた営業マンは、その引越し業者とのやり取りすべての担当窓口になります。
荷物の破損や紛失など、万が一のトラブルがあった際にもっとも頼るべき相手ということになります。
愛想のよさだけではなく、あなたの話をきちんと聞いてくれる営業マンであるかどうか、訪問見積もりを通して見極める必要があります。
名刺を渡されると思いますが、すぐに連絡の取れる携帯の電話番号を確認しておくと、以後のやり取りが楽になります。
荷物のチェック(10分程度)
訪問見積もりでは、使用するトラックのサイズや作業員を計算する必要があるため、すべての部屋の家具や荷物を営業マンが見て回ることになります。
タンスやクローゼットの中などに入っている衣類などはそのままで大丈夫ですが、下着などデリケートなものを見られるのには抵抗があると思います。
訪問見積もりで見られたくない場所があるときは、あらかじめ営業マンに伝えるか、あなたも一緒に荷物のチェックに立ち会うのがいい方法です。
引越し費用は運ぶ荷物の量が大きく影響するため、持って行くものと持って行かないものは、見積もりの段階ではっきりと伝えることが重要です。
あなたが特に指定しない限り、営業マンはすべて転居先に持って行くものとして見積もりをすることになります。
不用品などはあらかじめ処分しておくか、転居先に持って行かないものはそれとわかるようにラベルをつけておくのも良い方法です。
引越し業者に不用品の処分を依頼するにしても、持って行くものと持って行かないものは、誰が見てもわかるようにしておくことが正確な見積もりにつながります。
日程、作業内容の確認(10分程度)
いつ引越しをするのか、どのような作業をするのかで費用は大きく変わるため、訪問見積もりの前に日程と業者に依頼する作業を決めておく必要があります。
たとえば、仕事や学校が休みの週末を選ぶか平日を選ぶかで、料金は2割から3割変わってきます。
また、引越しプランでもっとも人気があるのは朝からの作業となる午前便ですが、午後便やフリー便を選ぶと午前便の半額程度にまで安くなる場合もあります。
ただし、複数業者の訪問見積もりを予定しているのなら、すべての業者に同じ内容で見積もりをしてもらう必要があります。
複数業者に条件を変えて見積もり依頼をしてしまうと、どの業者が高いのか安いのか、比較が困難になってしまうためです。
荷造りや荷解き、不用品の処分やエアコンの取り付け、取り外しなどオプション作業を依頼するのであれば、どちらがどこまでやるのかの確認も必要です。
現在の住居へ家具を搬入する際に、クレーンや吊りといった特殊作業が必要であったのなら、その旨も営業マンに伝えておきましょう。
会社へスケジュールの確認(5分程度)
家具や荷物の下見を終えた営業マンは、運ぶ荷物の量を容積に換算して使用するトラックのサイズを決めることになります。
運ぶ荷物の量と作業環境から必要な作業員の数も計算できるため、使用するトラックのサイズが決まれば、それが基本運賃となります。
希望する日程に使用するトラックのスケジュールが空いているかの確認をして、見積もりの提示という流れになります。
日程によっては使用したいサイズのトラックに空きがなかったりするため、訪問見積もりの依頼は早めにすることが望ましいのです。
見積もり書の作成(10分程度)
引越しの場合には、見積もり書をそのまま契約書とする業者が多く、後からプランの変更をするときなどは都度書き換えた最新版を入手しておくことが大切です。
また、訪問見積もりをしたからといって契約をしなければならないといったことはなく、営業マンに求められても見積もり書に押印などをする必要はありません。
大切なことは営業マンとの口約束にするのではなく、必ず見積もり書なり契約書なりの書面に追記してもらい、当日の作業員にもわかるようにしておくことです。
特に『大丈夫です。』『全部運びます。』など、具体的な根拠に欠ける営業マンのセリフには注意が必要です。
私の作業員としての経験上、営業マンとの口約束はあてにならないと断言できます。
引越約款の確認(5分程度)
上の画像は国土交通省告示の標準引越運送約款から、見積もりに関しての項目を一部抜粋したものです。
約款は『やっかん』と読みます。
通販には商品の購入後一定期間内なら解約できるクーリングオフ制度がありますが、実は引越しにも同じような仕組みがあるのをご存知ですか?
引越し業者は引越運送約款というルールに基づいて業務を行っており、多くの業者は国土交通省告示の標準引越運送約款をそのまま使用しています。
独自の約款を使用する業者もありますが、国土交通省の認可が必要であるため、利用者に著しい不利益をもたらすような約款はありません。
この約款にはキャンセルが3日前までなら無料でできること、業者の責任範囲や荷物の補償についてなど、引越し契約に関する重要事項が記載されています。
引越しの見積もりでは、この約款の提示が義務付けられていますが、長文であるため実際の現場では重要項目のみ営業マンが読み上げるといった対応が一般的です。
また、見積もり書のなかには裏面に引越運送約款が印字されたものもあり、約款の提示とする業者もあります。
無料ダンボールの受け渡し(終了)
引越し業者の営業マンが1日に担当する訪問見積もりは、だいたい4件から5件前後ですが、3月、4月の繁忙期前になると、1日に10件前後の訪問見積もりをすることもあります。
訪問見積もりには車両を使って回ることになりますが、あらかじめ荷造り用のダンボールを積んでいることがほとんどです。
業者が訪問見積もりを行うのは基本的に1回だけなので、成約した際にはすぐに荷造りが始められるようにというのが目的です。
しかし、荷造り用のダンボールを受け取ってしまうと、『この業者でいいか。』といった心理が少なからず働いてしまう可能性があります。
つまり、そのあとに予定していた業者の訪問見積もりをキャンセルしてしまう可能性があるということになります。
そうした心理効果を見越して、見積もりの最後になんとかダンボールを置いて帰ろうとする営業マンも少なくありません。
『ダンボールを置いて帰る。』というのは、営業マンのテクニックのひとつなのですが、すべての訪問見積もりが終わるまでは受け取らないことが、スムーズな業者選びにつながります。
見積もり時間が長くなるのはどんな時?
値引き交渉には時間がかかる
訪問見積もりにかかる時間はおよそ30分~1時間とご紹介してきましたが、値引きの交渉となると、あなたと業者との間で折り合いをつける必要があるため、時間がかかることになります。
引越しでは最初から営業マンが収支ギリギリの見積もりを提示することはないので、ぜひ積極的に値引き交渉をしてみてください。
しかし、引越し業者と上手に値引き交渉をするためには、あらかじめ 一括見積もりサイト などで他社の安い見積もりを揃えておく準備が必要です。
他社の安い見積もりがあれば営業マンが値段を下げる理由になるため、複数業者の見積もりを揃えることはとても効果的な方法です。
また、複数業者の見積もりを揃えることは、自動的にそれぞれの業者の最安値に近づいていくことになります。
『この金額なら。』や『この業者よりも安くなるなら。』といった具体的な金額を営業マンに提示できれば、値引き交渉の時間も短縮できるはずです。
帰らずに居座る営業マンも
『契約してくれるまで帰りません。』とは言わないものの、そんな雰囲気を醸し出す営業マンにあたることもあるかもしれません。
訪問販売では、営業マンのあまりのしつこさに根負けして商品を買ってしまったという話はよくあります。
引越しでもなんとか受注しようと、いつまでも粘る営業マンもいるようですが、『今日は契約しません。』とはっきりと伝えて帰ってもらいましょう。
あなたがあいまいな態度でいると、『もしかしたら契約してくれるかも。』と勘違いした営業マンが、いつまでも帰らずに居座ることになるかもしれません。
笑い事では済まされないのですが、私が勤めていた引越し会社の同僚は、訪問先で粘ったあげく警察沙汰にまでなったことがあります。
そのような状況になたとき、『帰ってください。』と言ってくれる誰かに、訪問見積もりの立ち合いをお願いするのも良い方法です。
まとめ
引越しの訪問見積もりにかかる時間は30分~1時間程度を見ておきましょう。
相談をすれば、夜間や休日に訪問見積もりを依頼できる引越し業者も多くあります。
すべての訪問見積もりが終わるまで、ダンボールは受け取らないことがスムーズな引越し業者選びにつながります。
営業マンとの値引き交渉には、あらかじめ一括見積もりサイトなどで複数業者の見積もりを揃えておきましょう。
あなたの引越しが素敵な思い出になりますように。
以上、『引越し業者の訪問見積もり所要時間と流れ|夜間や休日の見積もりは?』を最後までお読みいただきありがとうございました。
このページが役に立ったらシェアしていただけると嬉しいです!